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脳と身体のゆがみ

猫背と脳の関係


✅脳疲労で姿勢が悪くなる

 最初に結論から言います。ストレスをはじめとした様々な原因で脳が疲れると、姿勢が悪くなり猫背になりやすくなります。脳は視覚、バランス感覚、体の感覚などを統合し、姿勢を保つために身体の各部分に指令を送ります。つまり、脳が姿勢の「コントロールセンター」の役割を果たしているのです。

 姿勢を保つためには一定レベルの筋肉が必要なことは分かりやすいと思いますが、筋肉が十分にあれば、必ず良い姿勢を維持できるでしょうか? そうではありません。極端に言えば定期的に筋力トレーニングをしている筋骨隆々の方でも姿勢が悪くなる場合があります。

 それは脳からの指令が十分に筋肉に届いていないからなのです。車に例えると、エンジンは正常なのにアクセルを上手く踏めないために、パワーが出ないといった感じでしょうか。とにかく、ストレスなどで脳が疲れた状態になると良い姿勢を保つことが難しくなってくるのです。

✅平衡感覚の低下に気づかない?
 長年、施術をしていて感じることの1つに平衡感覚(バランス感覚)の低下に気づいていない方が多いということです。平衡感覚のセンサーは耳の中にあり、体の動きや傾きなどに応じてセンサーが反応し、その信号が脳に送られて姿勢がコントロールされます。

しかし、神経学的検査と筋力テストを組み合わせて確認すると、平衡感覚のシステムが低下している方は意外に多いのです。平衡感覚をコントロールするシステムが低下すると、姿勢を保つための筋肉が十分に働からなくなります。

また、当然のことながらめまいの症状が出ている方は姿勢を保つことに努力が必要なのですが、めまいの自覚がなくても平衡感覚のシステムが低下している場合には、筋肉の力が出にくくなるので、「歩くとすぐに疲れる」「立ち仕事が辛い」「階段が辛い」などの状態になりやすく、膝や腰の痛みの原因にもなりえます。

さらに、その時は自覚がなくても将来的に姿勢が悪くなったり、痛みや耳鳴りなどの身体の不調が出てくる可能性もあるので、施術において平衡感覚を検査することは大変重要です。

✅感覚と脳の関係
 身体の感覚が十分に脳に送られないと脳の機能は低下します。筋肉は運動などで刺激されることでその機能が向上し、筋肉の機能を維持していくことが可能になるのですが、それは脳も同じです。適切な刺激が脳に送られないと脳の機能は低下するので、結果的に身体全体の機能が低下して弱っていくことになるのです。

 例えば、歩く時に両方の足裏に50%ずつ均等に荷重しながら歩けている方は少ないのが現実です。すると、両脚の筋肉の使い方や地面を踏んだ時に加わる刺激などは偏るので、脳に送られる信号も偏りが生じます。そして、ある程度若い時は良いのですが、高齢になるにしたがって脳の働きやバランスに狂いが生じるようになってきた結果、痛みなどの身体の不調につながっていくのです。

✅運動と脳の関係
 また、個人差が大きいので一概には言えないのですが、運動を定期的に行っていれば、体に多くの刺激が加わり、その信号が脳に送られるので脳は元気になり、姿勢が良くなると考えられます。しかし、脳や身体のバランスが悪い状態で運動を続けると、どこかに無理が加わるので痛みなどが生じるようになります。

 そして、痛みを我慢しながら運動を続けると、脳に不快な刺激が送られるために脳の機能が低下してしまうのです。とにかく総じて言えることは、いかに脳を良い状態に維持するかという事なのです。

✅ストレスが脳に与える影響
 大きすぎるストレスは脳にとって大敵です。多くの方がひどく失敗したり怒られたりした時にはすごく落ち込むと思います。そんな時、大体みんな肩を落として頭が下がった状態で姿勢が悪くなりますよね。逆に自信満々で元気な方は姿勢が良い方が多いと思います。かれこれ15年ぐらい施術を行っていますが、脳の機能を最も低下させるのはストレスだと感じています。

 過剰な精神的ストレスの蓄積は体にさまざまな悪影響を与えるので、施術の際に姿勢をチェックすることは非常に重要です。また、施術を続けることでお客様の状態が改善していくと同時に姿勢も良くなっていくことが多いため、お客様の改善度を知る指標にもなります。

✅猫背に対するアプロ―チ
 猫背は脳の機能低下を分かりやすく表している状態と考えることができます。猫背の場合は首の筋肉の柔軟性が低下し、脳への血流が低下することで脳に送られる酸素や栄養素が不足しがちになります。すると、ますます脳の機能が弱り、猫背が悪化する可能性があります。

 一般的な姿勢や猫背の改善には、各種エクササイズやストレッチなどが挙げられますが、改善に至るには不十分と言わざるを得ません。とにもかくにも脳を元気にするアプロ―チが重要なので、神経学的な検査で脳や自律神経の状態を判別した上で施術を行います。

 これまでの経験上、100歳近くでも適切な刺激による施術を継続的に行い、その人にあった運動をしてもらうことで、猫背が少しずつ改善したケースもあります。

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