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自律神経の不調

朝早くに目が覚め、二度寝したくてもできない。

聴覚過敏で早朝覚醒しやすい女性のケースです。座ると坐骨神経の痛みが出るため、車の運転などでも困っていました。

✅聴覚過敏や早朝覚醒の原因とは?
 「すこしの物音でも目が覚めてしまう」「朝早くに眼が覚めてしまい、もう少し寝たいのに眠れない」という方は少なくないのではないでしょうか?いわゆる「聴覚過敏」「早朝覚醒」の状態と考えられるのですが、これまでの経験上、聴覚過敏や早朝覚醒はストレスや疲労の蓄積などで生じやすい印象です。

 仕事などが忙しいと、「脳が働きすぎ」の状態となりやすく、脳が必要以上に興奮、または疲れた状態になってしまいます。すると、脳を中心とした神経系の機能に異常が生じ、通常であれば気にならないような音の刺激でも目が覚めてしまうようになると考えられます。

 脳の過剰な興奮や疲れによる機能低下は、「自律神経の乱れ」も引き起こし、交感神経の働きが過剰になると、神経系は「交感神経の暴走状態」となりやすく、「寝ても疲れが取れない」「体が疲れているのに眠れない」といった状態に陥り、早朝覚醒や不眠につながります。つまり、休んでもリラックスできない状態となるのです。

✅交感神経と筋肉の関係
 自律神経のバランスが乱れて交感神経の働きが過剰になると、筋肉が過剰に緊張しやすくなると共に硬くなりやすくなります。この筋肉の緊張や硬さが「肩こり」「背中の張り」「腰痛」などの原因となることが多く、意外かもしれませんが、肩こりは一種の「神経症状」と考えることができます。

 施術の場面において特徴的なのは背中の硬さや張りです。交感神経は頚部~胸部~腰部~仙骨部にかけて存在し、交感神経の節前ニューロンという部位が胸髄から腰髄(上部)に存在しているからでしょうか、交感神経の働きが過剰な方は背中が「ガチガチ」で鉄板のように硬い場合が珍しくないのです。


~実際の施術のケース~
 今回、紹介する方は以下のような状態で来店されました。

【主な訴え/症状】
 ✅頭皮がひきつる
 ✅まぶたが痙攣する。
 ✅車の運転時に左脚の裏が痛くなる。
 (長時間の運転は困難)
 ✅早朝に眼が覚める。
   (その後は寝たくても眠れない)
 ✅物音など、少しの刺激で目が覚めやすい。

【検査】
  *右に振り向くと痛み(+)
  *後屈動作や体を傾ける動作で痛み(+)
  *呼吸機能低下(胸郭の動きが低下)
  *左脚の筋力低下が優位であり、筋機能のバランスが悪くて足首が内側に曲がった状態になりやすい。
  *歩くときに正しく地面を踏めていないために、靴底は外側が減りやすい。
  *歩くときに左足裏に十分に体重がのっていない。(荷重不足)

【東洋医学的な見解】
  *肺、大腸、肝、胆に反応あり。

【主な施術】
 ①左半身を中心にリラクゼーションを図りながら皮膚、筋肉の緊張を緩和。
 ②機能低下した皮膚・筋肉の活性化を行い、皮膚機能や筋機能のバランスを調整。
 ③背中の経穴に対してアクティベーターでアプローチ。
   ④手足の関節の可動域訓練で可動性を向上させる。
   ⑤頭皮のひきつる感じは、頭部のツボにアプローチした後に改善。
   ⑥手足の運動点や経穴(ツボ)を刺激して、脳と自律神経の最終的な調整を行う。
   ⑦右の前鋸筋や首の筋肉の緊張緩和と活性化を行い、右に振り向いた時の痛みはおおむね消失。


【施術後/考察】
 何回か来店されているお客様ということもあって、訴えられる症状を聞いている時点で、脳や交感神経が興奮状態であることが推測できました。交感神経の異常な緊張のために、普段よりも背中の筋肉の緊張が高く、触ると「カチカチ」な感じで指を弾くような感じです。

 筋肉の緊張緩和には振動刺激が効率的なので、ゆったりと揺らしながら筋肉や神経系の緊張を緩和させます。左半身は関節に圧力を加えながら、右半身は関節に牽引(引っ張る)刺激を加えながら体全体のバランスを調整します。頭部の緊張はツボ刺激で即座に改善しますが、右に振り向いた時の痛みはやや頑固な感じです。最終的には前鋸筋(肩甲骨の周囲の筋肉)への施術にて痛みは消失しました。

 以前からの左脚裏の痛み(坐骨神経の痛み)は改善傾向ですが、車の運転時に痛く、運転は数十分程度が限界との事でした。左の交感神経の緊張(働き)が強くなりやすいことが1つの大きな要因として考えられますが、定期的に施術を行うことで徐々に自律神経は安定していき、同時に運転時の痛みも軽減していくと考えられます。

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